事実8
お母さんの名前をずっと呼んでいたのは、
ほんとは、お父さんだったんでしょ?
私は、母親からよく「友達は一生の宝物だよ」と
言われて育った。
私は、あまり友達というものも信じてなかったから
「宝物」なんて思える人はいなかった。
でも、中2になってクラス編成があって
あるYという子と仲良くなった。
それから私は変わった。
その子は必ず朝、私を迎えに来てくれた。
何故だか、毎日のように口ゲンカをするが
距離を置きながらも必ず一緒に帰ってくるし
どんなに口ゲンカをしても、次の日には迎えに来てくれる。
その子のおかげで、学校も遅刻せず
学校にも行けた。
ほんとに感謝している。
その子のおかげで、友達が良いものだと学んだ。
高校になんとか行けたのも、その子が迎えに来て
くれていたからかもしれない。
その子とは、高校は別だった。
なのに、いまだにその子とは、付き合いがある。
「あ~んな口ゲンカばっかりしてたのに、なんでかね?」
なんて、よく笑って話している。
高校に入ってから、私と弟は、バイトをするようになった。
少しでも、金銭面で助けるためだ。
月5万を母親に渡す。
あの頃、その金額を稼ぐのは大変だった。
私は、遊びほうけていたから5万まで達する事がなかった
時もあったが、弟は私と違って真面目に5万、
入れていたし、グレることもなかった。
私達が高校2年の頃だった。
突然父親が手紙を送ってきた。
その文面にはこう書かれてた。
「お父さんは結婚することになりました。
もう、お前達も高校生。お父さんは、働いて学校を出ました。
だから、お前達も出来るはずです。
お金は、こっちの生活もあるので、
これから送れません。」
それから、女房がうんたらかんたらと書いてあったが、
「女房」という響きに、またまたとても傷つき
それ以上の内容はもう忘れた。
「女房」はうちの母親だ!と思ってた。
もう両親は別れてるのに、そんな事を思った。
「女房」なんて言葉を私達に聞かせるな!
とも思った。
「結婚だぁ?ふざけんな!」なんて、無神経なんだ!
ほんとに怒った。
こっちにだって、生活があるのだ。
好きで、3人になっているわけではない。
父親とその相手の女に追い出され、出てきて、
ほんとなら、もしかしたらお嬢様だったかもしれないのに
ファミレスなんかでバイトして、
そのお金は自分の自由になるものじゃなく、
家に入れる為のお金。
私は、そのせいで、バイトしているけど
いつもお金がなかった。
学校にもお弁当なんかも持って行くことなんてなく
持って行くとしたら、自分で作った。
家事全般は、もう小学校からやっていた。
でも、めんどくさがりの私は
あんまり、お弁当を持って行かなかった。
朝、駅の売店で、たまごサンドを買っていく。
そして、昼にはみんなで買いに行ったりした。
親の手作りのお弁当を持って来ている子が
あの頃はとても羨ましかった。
そして、父親の悪口を言ってる子に対しては
「いるだけ」いいじゃねぇかと思ってた。
父親がうざいとか、ケンカしたとか、
聞くことがあの頃とてもイヤだった。
私は、自分で自分を抑えられない性格で、
HR中でもなんでも、面白くなければ
椅子やらをぶん投げて教室を出て行ったりした。
授業中抜け出すなんてしょっちゅうだった。
その学校でも友達は出来たが、
心を開く事は出来ず、弱みを見せる事は出来ず
とてもつっぱっていた。
結構、のんびりした子達が多く
苦労もせず育ってきたんだなぁと思う子達が多く
人をいじめてたりするし、陰険。
そんなのに、付き合っていられなかった。
そんなんで、私は、どこかで合わない事を感じていた。
私は、やっぱり学校をさぼりがちで、
結局、高校3年に上がることは出来なかった。
普通なら、下級生に戻ってやり直す事もできたんだろうが
こんな生徒だ、学校もイヤだったんだろう。
さっさと辞めさせる方向に持っていかれた。
あの学校はほんとひいきが激しかった。
今考えれば、私もやりすぎたが。
母親も、もちろん呼び出されての退学通知。
母親は家に帰るまでずっと泣いていた。
私はその時初めて、事の重大さを知った。
私はこのまま働こうと思ったが、母親に、
「せめて高校だけは出てちょうだい」
と言われ、また高校に行く事を決めた。
今度は定時制高校に通った。
高校3年から転入する事が出来た。
もちろん試験は受けた。
父親に言われたように父親もそうしたように
私は、完全に昼間働き、夜は学校に行き
そんな生活をした。
今までは、母親に学費も払ってもらったが、
それからは、学費、給食費、交通費、
全部自分で払った。
それに月5万のお金を母親に渡す。
やっぱりお金はなかった。
よく、「10円貸して~」などと言って友達にお金を借りた。
情けないほど頭が悪い。
普通に計算すれば、わかりそうなもんだし、
帰りの交通費なんて考えそうなものだが
「どうにかなるさぁ~」なんて思っていたのかもしれない。
それ位、定時制の友達は良い人ばかりで、
私は、なんでこの学校に最初から入らなかったんだろう。
と思ったりした。
みんな、結構大変な思いをしている人が多く
みんな、働いている。
だからみんな普通の高校生と違う。
それに、歳も結構バラバラだから、
お互い仲の良い人達だけと関わって、
他の人の事を噂したりなんて事もなかった。
私は、この学校に入って、初めて、自分を出せるようになった。
私の事を平気で頭を叩いたりする。
そんな事、今までなかった。
みんなびびって、私にゴマをする。
「助けて、あの子にやられたから、やり返して?」
そんなのばっかりで、
「私の事は怒らせられない」とか言われていた。
それが違う。
友達なんて作るつもりなんてないのに
どんどん誘ってくる。
「給食食べいこう~」
「一緒にかえろ~」
7人位のグループになっていた。
今まで、全然楽しくないと思っていた学校。
それが、初めてとても楽しいものになった。
私の青春時代はあそこにある。
ー続ー
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